島崎藤村が最後に過ごした場所であり、国道一号線から少し路地に入ったところにあります。四季の移り変わりが楽しめ、温暖である大磯磯。簡素であるものの凝った造りの建物。この場所を好きになった理由としては十分ではないでしょうか。今でも周辺の路地は風情があります。
書斎の小窓は木の枝を組んで蔦のようなもので編んで固定してあります。また、縁側の天井も凝った造りになっており建築関係者が見学に来るほどの建物です。
当時、この建物の周辺は海岸沿いや山財にあった別荘地と違い普通の家々が並ぶ住宅街でした。元々は『新杵』の持ち家だったこの建物は藤村が借り入れるまで久しく空き家で荒れ果てていたそうです。

島崎藤村のお墓は地福寺にあります。
墓碑の設計は高田保の墓と同じ、谷口吉郎博士の設計であり、実物はとても細くモダンな印象を受けます。
島崎藤村が57歳(数え年)の時に自ら運営し、婦人誌『処女地』の同人・加藤静子と再婚しました。24歳も年下の彼女でしたが、藤村のよき秘書であり看護婦でもあったそうです。
島崎静子のお墓は藤村のお墓のとなりに並んで立っています。島崎藤村と同じ囲いの中か、外観を損ねるような埋葬してくださいと静子の願い出建てられました